財務における AI とは?
財務における人工知能: 知っておくべき情報を一挙ご紹介
財務における人工知能 (AI) とは、財務部門が行う作業を機械が補強するテクノロジーです。最高財務責任者 (CFO) や財務担当者にとって、AI は財務テクノロジーの次の大きな変化となります。
人工知能とは
AI とは、従来人間の知能が必要だと考えられていた作業を機械に実行させるテクノロジーです。AI はデータを分析および学習し、パターンを認識して予測を立てます。膨大な規模のデータを対象に驚異的な速度でこの一連の作業を行うことで、AI は十分な情報に基づく意思決定を強化し、人間の生産性を向上できるのです。
機械学習とは何か
機械学習 (ML) とは、AI の一分野です。ML モデルは、パターンを特定し、予測したりコンテンツを生成したりするために、データと自己書き変え手法を使用しています。ML モデルは、将来的により優れた結果を生み出すために、継続的に改良を加えることができます。
財務における AI について学ぶ
新たな職場環境で企業が成功するためには、AI が搭載されたアプリケーションを中心に業務を遂行することが必要不可欠となります。今後 AI が財務部門にいかに役立つかについて理解を深めましょう。
クラウドベースの財務とは?
AI と ML によって企業の財務部門はすでに変化しています。ただし、その変化は、財務管理システムのテクノロジー基盤に左右されます。
財務とは、資金と投資の管理、創出、分析と定義されます。信用評価や引受業務の意思決定、不正の検出など、金融と財務に関連する業務の中には、専門の金融機関によって行われる業務があります。リスク評価や予算編成、投資計画など、それ以外の業務は、社内で管理されます。
多くの企業が十分な情報を把握した上で意思決定を行うため、財務管理ソリューションを使用します。これまで経理部門や財務部門を支えてきたこの種のソリューションは、通常 ERP (エンタープライズ リソース プランニング) として知られる広範にわたるアプリケーション スイートの一部となっています。
ERP システムはこれまで、アップグレードに時間やコストがかかったり、IT 部門が機能を追加、修正する必要があったり、煩わしいデータのサイロ化を引き起こしたりと、旧来のシステム固有の問題により、本来の機能が妨げられていました。「Workday エンタープライズ マネジメント クラウド」などのネイティブ クラウド アプローチにシフトすれば、企業はリアルタイムで自社データにアクセスし、自社の事業と財務の全体像を把握できるようになります。
Workday は、自社のプラットフォームの中心に AI と ML を組み込んでいます。大手企業の財務部門はエンプロイー エクスペリエンスの向上、業務の効率化だけでなく、速やかにデータドリブンな意思決定を下すことを可能にするインサイトの提供を支援するため、すでに Workday の AI および ML テクノロジーを活用しています。
「Workday 仕訳インサイトのおかげで、月末にエンドユーザーが確認する項目が 1 つ減りました。エンドユーザーは 1 か月を通して問題を修正できます。これにより、問題修正が継続的なプロセスになっています」
— IMC Financial Markets 社、ERP ビジネスアナリスト
財務における AI とは?
仕事の世界は変化しており、企業のあらゆる側面に変化を及ぼしています。人事部門は、スキルベースのアプローチにシフトしています。財務部門は、非接触型のトランザクション処理を導入しています。IT 部門には、分散型ワークフォースのためにツールとシステムを管理することが求められています。この変化を AI および ML と切り離すことはできません。
「財務における AI」とは、企業が自社の資本を分析、管理、投資する方法を補強する作業を機械に行わせるテクノロジーです。手作業で行う反復作業を自動化し、異常を検出し、リアルタイムの推奨事項を提供することで、AI はビジネスの価値の主な源泉となります。
従来多くの労働力や時間を擁していた予測可能な財務プロセスと作業に AI を導入することは、財務サービス業界を最先端の環境に整えるために必要不可欠です。たとえば、財務部門は従来、一般的に月末と期末に情報を収集、照合するため膨大な時間を費やしてきました。AI は、財務部門が戦略の検討に時間を費やせるようにするため、異常事態の対応、例外の管理、推奨事項の提示など監視作業を重点的に行います。
AI は財務でどのように利用されているのか?
人工知能のプロファイルは、主に ChatGPT、顧客サービス用のチャットボット、ジェネレーティブ AI により、ここ最近大幅に発展を遂げています。同様に、これまでは人間が膨大な量の顧客データと信用履歴を処理する必要があった与信判断においても、今では AI システムによって正確に情報が得られるようになっています。
企業が財務分野において競争力を維持するためには、AI と機械学習アルゴリズムが必要不可欠になっています。これまでは、異常の検出から不正の特定、結果の予測まで、財務部門の日常業務はすべて手作業で行われていました。現在財務部門には、効率的に業務を遂行し、戦略的なインサイトを提供することが期待されています。だからこそ企業は、自動化、整合性、精度を向上する AI テクノロジーを導入する必要があるのです。
このセクションでは、金融業界において AI アプリケーションが急速に業界標準になりつつある 3 つの分野を掘り下げます。
「当社は、人工知能が社員そして企業の働き方を良い方向へと変革する機会をもたらすことを確信しています」
—Workday、共同社長、Sayan Chakraborty
経理における AI の役割
数値の誤りや不正確なデータがもたらす影響は甚大なため、人的ミスを最低限に抑えることは、経理部門にとって何より重要なことです。経理部門の社員が処理しなければならない請求書、レポート、データの量は膨大なため、AI は競争力を維持するためにますます必要なテクノロジーとなっています。ここでは、Workday を利用している顧客にとって、AI が明らかに役立つことが証明されている分野をご紹介します。
- 自動化: 従来手作業で行われてきた重要な財務トランザクションを自動化することで、ミスが減り、コストが削減され、時間が短縮されるため、すべての関係者がメリットを得られます。たとえば、機械学習を活用すれば、請求書を一括でアップロード、スキャンし、緊急度を特定し、処理の優先順位を付けることができます。その後、過去の割り当てに基づいて、サポートに最も適した担当者に請求書を割り当てることができます。
- 異常検知: 例外や異常を常に表面化するために AI を利用している企業は、期末に業務妨害となる問題が生じることを回避できます。従来の記録して報告するプロセスでは、限られた時間の中で膨大な作業を行うことが求められます。ML は監視に費やす時間を大幅に削減し、経理部門の社員がより戦略的なイニシアチブの分析や対応により多くの時間を費やすことを可能にします。
- インテリジェントな提案: AI を活用することで、企業は期首から期末まで継続的に提案を自動生成できます。たとえば、契約締結から収益化までのプロセスにおいて、売掛金の処理にかかる時間の半分が、手作業での処理に費やされています。ML は、不正確な会計処理を検出できるだけでなく、顧客の領収書との一致率が最も高い請求書を提案できます。
「人工知能と機械学習をシステムに導入したことによって、請求の正確性がほぼ 100% に達成し、キャッシュフローを 100% 自動化できました。これにより、手作業での仕訳入力作業が大幅に減りました」
—Workday、バイス プレジデント兼最高会計責任者、Philippa Lawrence
ファイナンシャル プランニングと分析における AI の役割
将来を予測することがこれほど重要な時代は過去にありません。毎日ではなくても毎週大幅な変更が生じる現代において、企業にはこれまで以上に適応力が求められています。AI アルゴリズムは、状況の急速な変化と同じ速度でデータを分析し、時代の先を行くために必要な予測力をプランニング担当部門に提供できます。ここでは、Workday Adaptive Planning を利用している顧客にとってすでに AI が必要不可欠となっている 3 つの分野をご紹介します。
- 異常検知: AI は計画データが通常の範囲から外れている場合、履歴データを利用してプランニング担当者にアラートを通知します。これにより、ユーザーはデータ異常の根本原因についてインサイトを得て理解を深めることができるため、必要に応じてタイムリーにデータ調整を行うことが可能となります。新たな事例はすべて、モデルがユーザーからのフィードバックを学習し、プロセスを通して継続的に改善する機会となります。
- 外れ値のレポート: AI は、外れ値予測を発見する際の応答時間を大幅に短縮します。AI はリアルタイムでプランニング担当者の予測、予算、またはその他のバージョンの予測と AI の見通し予測を比較できます。その後、大幅な差異がある勘定科目をさらに特定できます。こうすることで、AI は異なるバージョンのプランニングを速やかに分析することを支援しつつ、異常が発生した場合に、異常を検出することもできます。
- 見通し予測: 正確な予測はファイナンシャル プランニング & 分析 (FP&A) の要です。ML を利用すれば、ユーザーは需要の見通し予測を推進するため、履歴データを活用できます。AI のリアルタイム分析のおかげで、さらに予測の精度を高めるために他のデータセットを組み込むこともできます。これにより、絶えずデータから学習し、変化する状況に適応する新たなプランニングへの扉が開きます。
調達における AI の役割
効果的に業務を遂行するため、調達部門には、データを正確に評価し、リスクを検知し、効率性を推進するための機能が必要となります。S2P (Source-to-pay) プロセスは、ほとんどの場合、多大な労力が必要なだけでなく、間違いが起こりやすいため、AI を導入すれば大きな影響をもたらすことができる可能性があります。ここでは、支出管理における AI と ML のユース ケースを 3 つご紹介します。
- データの場所の特定: Workday のセマンティック検索は、契約書の場所を速やかに特定するため、OCR (光学文字認識) を活用します。このため、これまで数時間、長い時には数日かかっていた作業が数秒で終わります。これにより、調達部門の社員は意義のある契約交渉やリスク管理に多くの時間を費やせるようになります。
- リスクの検知: 経費の処理は、企業にとってリスクが大きい分野です。リスクの原因は、不正ではなく、経費の重複や金額の問題、経費項目の間違いなど手入力による間違いであることがほとんどです。ここで役立つのが ML です。ML は大量のデータセットをレビューし、正常ではない疑いがある項目を特定します。これにより、経費レポートのレビュー プロセスを合理化し、払い戻しにかかる時間を短縮できます。
- 支出項目の提案: ML は調達依頼や発注書を作成する際に、適切な支出項目の選択肢をユーザーに提供できます。これにより、下流での間違いの件数を減らし、購買プロセスを加速し、ユーザー エクスペリエンスを向上できます。これは効率的なだけでなく、部門の社員の自信を高めることにもつながります。
将来を見据えて行動する
財務担当者の大半が 10 年後までに AI と ML が財務業務の一部となると考えているにも関わらず、実際に AI と ML テクノロジーをすでに利用している財務担当者はほんのわずかです。
71%
10 年後までに AI と機械学習を自分が利用しているだろうと考えている財務担当者の割合*。
4%
すでに AI と ML を導入していると回答した財務担当者の割合。一方で、26% が 2030 年までに導入は不可能または AI と ML はまったく必要ではないと回答しています*。
* 『財務部門における人工知能と機械学習の未来に関するグローバル調査』
財務における AI のメリットとは?
CFOは長年にわたって決算処理、連結処理、レポート、給与計算といったプロセスに費やす時間を短縮する方法を模索し続けています。適切な方法で行えば、デジタル テクノロジーを活用し、自動化を進めることは、CFOにとって財務部門を変革する理想的な手段となり得ます。
2022 年の Workday のレポートでは、財務担当者の 71% が 10 年後までに財務部門で AI と ML の導入が大幅に進むと予測していることが明らかとなりました。にも関わらず、財務担当者の 74% が、現時点で AI の利用経験がまったくないと回答しています。ここでは、AI を導入することですでにパフォーマンスの向上が進んでいるいくつかのプロセスをご紹介します。
- 大量のトランザクションの速やかな分析
- 手作業の反復作業の自動化
- リスクの効果的な予測と低減
- パターンと異常の継続的な検知
- 決算処理にかかる時間の短縮
- 社員が他の作業に集中するための時間の確保
- 人的ミスが発生する確率の制限
CFO 260 人を対象としたグローバル Workday 調査では、半数近く (48%) が、財務業務を合理化するためにテクノロジーに投資する予定があると回答しています。さらに注目すべきは、テクノロジーを優先課題としている CFO ほぼ全員 (99%) が、社員を惹きつけて維持するためにはテクノロジーの更新が今後必要不可欠になるだろうと考えていることです。人財を採用する際に将来を見据えて行動するためには、最先端の AI および ML ソリューションを何より優先することが企業に求められています。
ご存知でしたか?
CFO の 57% が、新たな人財を探す際、求めている AI および ML テクノロジーのスキル セットを持つ人財を見つけることを優先していると回答しています。
財務における AI の未来とは?
AI と ML を導入せずに財務部門を最先端の環境に整えようとしても、必ず失敗に終わるでしょう。AI の真価を発揮させるには、ディープ ラーニングから自然言語処理まで AI の対象をしっかりと理解することが企業に求められています。当社の調査では、財務部門の 71% が 2030 年までに目標を達成するためにデータ サイエンティストの人数を増やして欲しいと回答しているとおり、多くの企業が重大な AI スキル ギャップに直面していることが明らかとなっています。
今後企業はますます AI を重視するようになるでしょう。これに伴い、ビジネスリーダーには自社の AI を信じることが求められます。Workday は、自社の財務ソリューションのアーキテクチャに組み込まれている倫理的な AI 原則を活用するアプローチを採用しています。
ほとんどの場合、企業は明確な意味を説明することなく、自社製品を「AI 搭載」と謳っています。Workday は、AI と ML を自社の基盤に組み込んでいる唯一の大手クラウド財務管理プロバイダーです。このため、当社のアプリケーションでは、複雑な統合作業なく、ワークフローの一部としてネイティブで AI と ML を活用できます。
当社は、AI と ML の真価を確実に発揮させるためには、信頼できるソリューションであることが重要だと考えています。だからこそ Workday は、Workday で AI と ML の開発および管理手順を定義する際にガバナンスを提供するMachine Learning Trust プログラムをご用意しています。この取り組みは、当社のコア バリューにしたがって、テクノロジーのメリットをお客様に提供するために役立ちます。 信頼できる AI を提供するための取り組みの一環として、当社は次の原則を守っています。
- 人間の可能性を引き出す
- 社会にポジティブな影響を与える
- 透明性と公平性を重んじる
- データ プライバシーと保護に関する Workday のコミットメントを守る
インテリジェントなプランニングで業績を推進する方法について Team Car Care の事例をご確認ください
財務の未来を率先して形成する
世界中で 6,000 万人以上のユーザーが同じバージョンの Workday を利用しています。AI の可能性を実現するために必要な信頼できる財務データを持っているのは当社の顧客だけです。Workday のネイティブ AI を活用した今日の法人企業の財務意思決定について、詳細をご確認ください。